VRはじめました。

A440でも、随分前にOculus Rift DK2を購入していたのですが、仕事がないと開発できることを公表できない!でも公表しないと仕事がない!という「鶏が先が卵が先か」問題に直面してしまっていたので、このたび、デモコンテンツを制作しました。完全に個人の趣味で作ったようなコンテンツですが、遊んでみてください。

Windows / Oculus Rift DK2向けアプリケーション、Android用専用コントローラアプリは、本記事の最下段から無料でダウンロードできます。

Android専用コントローラアプリ

(左)Android専用コントローラの画面 (右)接続されるとAndroidの操作がVRアプリケーションに伝わります

このデモコンテンツでは、専用アプリを通して、Androidをコントローラとして使用します。
※今回はマッチングサーバを準備していないので、同一LANの中でIPアドレスを直接入力するかたちになっています。

開発コスト

制作期間:およそ80時間弱(人日換算10日)
楽曲制作:Fumiteru SATO
その他:Yuichi NISHIZAWA

※屋外の岩は、A440で3Dスキャンしたものを試験的に使用しています。
※上記の岩以外の2D/3Dアセット、サウンドアセット(楽曲除く)、エフェクト、プログラムなどはA440のスタッフが1名で、上記期間内に制作しています。商用開発を行う際には、予算と期間に応じて、よりハイクオリティなものを制作します。

3Dスキャンの利用




先にも記載しましたが、デモの制作中に社内スキャンの準備が整ったこともあり、今回は試験的に、A440で3Dスキャンしたモデルを使用しています。リダクションも含めて、スキャンデータから5分足らずでゲーム内に持ってくることができたので、今後も積極的に利用していきたいと思います。

コンテンツ紹介

あなたは考古学者となり、遺跡の最奥に安置された「黄金の王笏」を持ち帰ることが目標です。ゲームは常に一人称視点で進み、3Dで構築された遺跡の中を探検します

視界いっぱいに広がる暗闇を感じながら、探検の緊張感を味わってください。

進行方向に二重丸のマーカーが表示されます。前に進むときは、なるべくマーカーを見るようにしてください。

ゲームクリアとゲームオーバー

遺跡の奥で「黄金の王笏」を入手し、入口まで無事戻ってくることができればゲームクリアです。

跡の中で罠にかかるなどした場合、ゲームオーバーとなり、チェックポイントからリスタートになります。

開発のポイント

今回の開発では、どこまで酔いを低減できるかチャレンジしてみたかったという個人的な思いもあり、VRの中で移動を行う、しかも閉鎖的な空間、というVR酔いをかなり誘発しやすいものを作ってみました。

当然、何の対策もせずにOculus Riftで試したときは、誰もが気持ち悪くなれるものでした。今回の開発を通して、完全に酔わなくなるとまではいかないものの、いくらか低減ができたかと思いますので、その原因と対策を、簡単にご紹介します。
※とはいえ、10人中9人が酔っていたコンテンツが、10人中5人が酔う程度になったくらいです。

1. 階段での垂直方向移動

もともとは遺跡の内部には階段が多く配置されており、立体的な作りになっていましたが、垂直方向の移動が特に酔う原因になっていたようなので、可能な限り平坦に構築し直しました。この対策は、非常に効果的でした。

デザイン上、どうしても立体的な広がりを演出したい場合には、プレイヤーの移動範囲は可能な限り平坦にし、背景として見せるように切り分けた方が良さそうです。

2. 壁に必要以上に近づいてしまう

当初、壁に向かって直進したときに、目の前いっぱいに壁が広がってしまい、かなりの圧迫感がありました。この問題に対しては、少しカメラ位置を後ろに取ることで対処しました。

こうすることで、圧迫感は回避できる一方、回転した際に本来の眼球の動きとは異なってしまうので、余計に違和感を覚えてしまうかと考えていましたが、想定していたよりも不自然さはなく、酔いも少し低減されました。今回は、どのような状況でも一律でカメラを後ろに下げましたが、今後はよりインテリジェンスに、状況に応じて圧迫感を回避するようにカメラを動かすことも構想しています。

3. 移動方向と視線が違うことがあり得る

この問題は、移動できるVRの宿命とも言えるかもしれませんが、やはりどんなに意識で分かっていても、見ている方向と違う方向に動くことで、多くの人が酔いを感じてしまいます。コントローラ入力による前進と回転が同時に起きないように設計することは簡単でしたが、動き出してから周囲を見回すことはプレイヤー次第なので、回避できませんでした。

そこで、進行方向にマーカーUIを表示してプレイヤーの注視を促すことで、マーカーなしでは毎回酔っていたプレイヤーも酔わなくなるなど、一定の効果を上げることができました。

4. フレームレート

Oculus Riftが動くほどのパワーを持つPCとはいえ、最適化を怠るとフレームレートが出ません。ライトのカリングや、スクリプトの最適化などを施し、フレームレートを稼いだ結果、何もしないときに比べ、はるかに酔わなくなりました。

また、本コンテンツの特徴でもある、専用コントローラアプリについてもご紹介します。今回制作したコントローラアプリを通じ、AndroidとWindowsを通信させることで、Androidの各種センサーの状態を取得することはもちろん、VRコンテンツ側からAndroidコントローラ上で効果音を再生させたり、バイブレーションさせることができます。

今回は実装されておりませんが、例えばAndroid側にミニゲームを実装して、VRコンテンツに結果を反映させたり、スマホのプラットフォーム上でのマネタイズなど、色々と面白い使い方ができるのではないでしょうか。

まとめ

今回は大部分の制作とディレクションを1人で行ったので、非常にスピーディに開発ができました。もちろん、ディレクター目線で言えば、かなり割り切った箇所が多いのも事実ですが、テクニカルデモとして楽しんでいただければ、と思います。

プレイにあたって

酔いを低減するには
・前進時、前方にマーカーが表示されるので、なるべくマーカーに視線を合わせてください。
・階段を進む際は、進行方向のやや上を見るようにしてください。
・周囲を見回す以外は、あくまでも座っている方向を変えず、左右スワイプで回転してください。
・プレイ中に気持ちが悪くなった場合はプレイを中断し、休憩をとるようにしてください。
・本ソフトウェアはデモアプリケーションです。
本ソフトウェアを使用した事によるいかなる損害も、A440は一切の責任を負いかねます。

動作確認環境
Windows7 Professional 64bit
Intel(R) Core(TM)i7 3.20GHz 4Core
RAM 12GB
GeForce GTX980
Oculus Runtime for Windows 0.8.0.0-beta
Oculus Rift DK2

※ダウンロードはパソコンから可能です

DOWNLOAD

(Yuichi NISHIZAWA)