Camatte Vision

2015年6月

事業概要

「Camatte Vision」は東京おもちゃショー2015にトヨタ自動車様より出展された、AR技術を用いてコンセプトカー「Camatte」を親子で身近に楽しんで頂くブースです。車の種類や色を選んでタブレット越しに車のミニチュアを見ると、ミニチュアが自分で選んだ色や形に変身し、「Camatte Town」のジオラマ上を走りだします。走っている車をよく見ると、運転席には自分の顔が。我々は「Camatte Vision」のタブレット端末用のアプリケーションを含めた、システム全体の制作を行いました。

アプリケーション紹介

アプリケーション開発のポイント

今回のシステム開発においてポイントとなったことは企画面・技術面両方でいくつかありますが、やはり一番のポイントは、「如何にして車を本当にジオラマ上に実在しているかのようにAR表示するか」に尽きると思います。

通常のAR表示は、カメラの画像に何かしらのCGを上から重ねて描画することで実現します。つまり、CGで描かれるものは、常にカメラ画像に手前に表示されることになります。ですが、今回は街のジオラマ上に車を走らせる必要があり、しかも街には道路だけではなく家や木、信号といったオブジェクトが配置されています。つまり、自然に車が街走っているように見せるためには、見ている角度によってはそのオブジェクトの奥に車を表示する必要があるのです。

うーん、我ながらわかりづらいですね(笑) 簡単に言うと、状況によって車が手前の木や家で隠れないといけない、ということです。これを実現するために、街のジオラマとまったく同じ形状の3Dデータ作成してアプリ内部で保持し、木や家などで車が隠れる場合にはそこだけ車を表示しない(マスク処理)、という方法をとりました(下図参照)。

と、言葉にすると簡単ですが、上の写真のようにきれいに向こう側にあるように描画するのは実はとても大変でした。とてもとても大変でした(笑)。まず、ジオラマとぴったりに3Dデータを作ったはずなのに、いざ合わせて描画してみると、ぴったり合わない。なぜか、合わない。

さらに何より問題だったのが、オブジェクト認識の誤差です。今回のARはいわゆるマーカーがありません。ではどうやって位置推定を行いARを実現しているかというと、ざっくりいうとジオラマ全体をマーカーとして認識する、という結構最先端な技術を用いています。そして、せっかくぴったりに街の3Dデータを作ったとしても、位置推定がずれてしまうと、すべてがずれて表示されてしまいます。

詳細は省きますが、上記の2つの問題点を、とにかくトライ&エラーを何度も何度も繰り返し行うことで少しずつ調整、向上させてゆきました。結局、最後は人が頑張るしかないんです。人に喜んでもらいたいならば、人が頑張るしかないんです(笑)。と、他にもここには書ききれないほど苦労も多かったのですが、イベント当日に沢山の小さなお子様たちが、タブレットと肉眼とで不思議そうにジオラマを交互に眺め楽しんでいる様子を見て、あぁ、頑張って本当に良かったなぁと感じました。

もうひとつだけ、今度は企画的なポイントをあげます。今回のイベントでは、来て下さったお客様に車のペーパークラフトをお土産として持って帰って頂きたい、というクライアント様からの要望がありました。ここまで聞いただけでは僕らの仕事とは関係ないように思うかもしれませんが、実はこのペーパークラフト、リアルタイムで印刷してお渡しする、というオペレーションを行っていました。というのも、このお土産のペーパークラフトは、選んでいただいた種類の車を、選んでいただいた色で、しかもARで表示したようにご自身が運転席に座って見えるように顔写真を仕込んだ形で印刷してお渡ししていたのです。これによって、世界に一つしかない、思い出に残る特別なお土産をお渡しできたのではないかと思っています。

まとめ

この施策は、トヨタ自動車様のコンセプトカー「Camatte」のコンセプトでもある、車の楽しさを小さなお子様にも伝えたいという思いと、ご家族みんなで楽しんで頂けるブースにしたい、という強い願いを元に、色々なことに挑戦したプロジェクトでした。

しかし、挑戦した分やはり苦労も多く、関係者の皆様にはイベント当日までご心配をお掛けしてしまいましたが、トヨタ自動車様はじめ関係者の皆様の辛抱強さとご協力でなんとか皆様に喜んでいただけるモノをご提供できたのではないかと思っています。

(Fumiteru SATO)